横内 僕が寺脇さんと初めて会ったのが、YBSの木下恵介劇場。あのときに寺脇さんは、僕の目線から見たらすっごくすがすがしい、青年のような印象だったなぁ。いまももちろんそうだけど、あのころは、もっともっとそういう感じがした。あのときでお幾つだったの?
寺脇 あれは、31か32歳。
横内 そうなんだ。あのころから、コミカルな中にもピリッとした独特な芸風というか、お芝居をやっていらしたね。そして、適当にこうエッチなのね(笑)。ヒロインにこうちょっかい出して、「やべえぞ、このままだと寺脇さんに取られちゃうんじゃないか」みたいな感じの独特なキャラクターをやられていた。
寺脇 その辺は、もちろん松田優作さんへの憧れもそうなんですけど、アニメの『ルパン三世』が大好きなんですよ、僕(笑)。やはり、ルパンの持っているバランスですよね。ちょっとエッチで、おっちょこちょいで、バカなことを言う。でも、「ここは決めるだろう」というときに決めてくれる。それが、カッコいい男!というイメージがずっとあったものですからね。ずっと二枚目の方ももちろん良いんですが、いろいろなバランスを持った人に魅力を感じていたんですね。
なので、舞台でも必ず二枚目半という役が多かったです。ところが今回の『マルグリット』は一切ギャグがない。「シ~ンとしてるぞ~」なんて思いながら、僕の中ではズッコケたいなぁという遊び心がフツフツと……(笑)。
横内 『マルグリット』でずっこけたりしたら、エライことになっちゃうよ(笑)。
寺脇 ほんと(笑)。今回は、本当に緊張しますよ。いつもの岸谷吾朗と二人でやっている舞台だったら、多少のセリフの間違いとかも笑いに持っていけるでしょう。セリフを間違えたときでも、「私が今何を言ったかわかったか?」なんて言いながら、「もう一度言おうか~」ってやってみたり、人がセリフを忘れたときには、「おまえの言いたいことを当ててやろう」と言って助け船を出したりね、でも今回だけはそれは通用しません。
横内 なるほど。でも、チラッと脳裏をよぎるわけだ、自分の中の本能的な潜在的なものとして、「これを笑いに持っていったら面白いだろうなあ」という誘惑が時々あるわけ?
寺脇 あるんですよ!! だから、それが舞台に出ないように楽屋でやっています(笑)。春野さんにも“オットー”ギャグを披露していますよ、マルグリットに手紙を書かせるシーンで、「これを鳩で飛ばすんだ」とか言いながら、「行け、ポッポ一号」とか(笑)。
横内 アハハ、寺脇さんは本当にユーモアセンスがあるよね。ところで、岸谷さんとの出会いはどうなの?
寺脇 SETに入ったときに、一年先輩で岸谷がいたんです。年齢は彼が一つ下なんですが、そこで10年間一緒に過ごしましたね。
最初の新人歓迎会みたいな飲み会で、最後に岸谷と僕、残って飲んでいたんですよ。初対面なのに、みんなが帰ってしまったなか「二人になったよ、「俺ら、なんか合うんじゃねえか~」なんて言いながら……。それが始まりですよ、運命の出会いと言えるでしょうね。それから、本公演に出るのはもちろんのこと、二人で若手公演の芝居を作ってみたり、それを「○○公演」と銘打って、演出を始めたりしましてね。
横内 劇団の中で、そういう別個の活動をすることに関しては、三宅さんからクレームをつけなかったの?
寺脇 最初、「SETの名前を使うな! お前らの舞台が面白くない場合、劇団の名に傷がつく」と言われましたね。だから、稽古場も劇団のものを使わず自分らで見つけた場所でやって、それで芝居ができたときに、三宅さんに見せたんです。「どうですか、これでもSETの名前を使ってはいけませんか?」って、そしたら三宅さんが「面白い!」と言ってくださった。
横内 お墨付きが出たわけだ。
寺脇 逆境の中で燃えるわけですよ!
撮影/桑原 靖 (ミュージカル『マルグリット』)
ヨコ様と寺脇さんの対談は来週も続きますので、お楽しみに![]()
