今年でデビュー35周年ということですが。
大橋:そう、アラフォーよ。35年って、もう言い逃れできないっていう感じになってきちゃって。だから、今年の抱負は、35年をスタートとして、次のデビュー50周年を向けての再スタートを切る年だというふうに、私、考え方を改めました(笑)。
35周年を迎えた今年は、『TERRA2』を含めて14タイトル発売されるそうですね。
大橋:デビューからこれまでの35年間に録音したすべてのアイテムがリリースされるんですが、ありがたいやら、なんだかもったいないやら。まだ、生きてるんだけどなぁ~みたいな(笑)。なんで、急に今年なんだろう?みたいな感じもございますけど、でも、基本的に私は楽天家なもんですから、35周年を祝ってくださっているのかなって、いいように受け止めています(笑)。私のこれまでの軌跡、時代によって歌う世界も違えば声も少しずつ変わってきていますから、そういうところを聴くのも面白いと思いますよ。
だいぶ音楽シーンも変わりましたからね、最近は若いアーティストもすぐにベスト盤を出しますし、カバーも多いですよね。
大橋:変わりましたよね~。でも、カバー流行りは日本だけじゃなくて、きっと世界のほうが早かったんじゃないかしら。それに、流行りっていうことだけでもないと思うんですよ、私なんか35年もたつと、レコーディングの方法だけでもアナログからデジタルに変わり、デジタルからもっとコンピューター主体の今の本当のデジタル化、と過渡期を2回くらい過ぎていますから。そうねぇ、歌一つとっても、ここまであらゆるものが出尽くした時代に入って、新しいものとか、聞いたことのないメロディとかあり得ないでしょう。
たしかに、そうは新しいものは生まれないですよね。
大橋:そうすると、べつに昔に回帰しているわけでもなくて、ふっと浮かぶメロディや長い時間の中で残っているものは、やはりそのまま残っていく。そして、そういうメロディはそう数が多くない、ある程度集約されてきちゃったんじゃないかなぁと思います。たとえば今回、新しいアルバムを作るってときにね、いま、なぜあえてオリジナルなのか? 何を歌いたい? どういうメッセージを伝えたい?って考えると、まったく人が知らない、それでいて感動とか新鮮さを与えるメロディとなると探すのが難しいんですよ。
それで今回、カバーになったんですか?
大橋:2年前に初めて邦楽カバーアルバムを出したんですけどね、あれだけのヒット曲になると、私がいろんな色に変えて歌っても、メロディが良いものはやっぱり良いのよ。大勢の人の心に残っていますしね、私自身、知っている歌を聴くとやっぱりホッとするんですよね。そして心地いい。童謡も一緒でね、良い悪いの前に口をついて出る、それは知らないうちに体に染みついているからでしょう。ヒット曲ってそれに近いものがあると思うんですよね。カバーをやってみてそれが一つわかりました。だからこそ、みんながふと懐かしいとか温かいとか、そして優しいとか、そういう気持ちになれるほうがいいのかなぁと思って。それに名曲というのはそういつの時代でも出るものでもなくて、その限られた名曲を私が歌っていくのがいいのかな、と。それで今回、35周年記念アルバムもカバーで出すことにしたんです。
撮影/桑原 靖